米ナス作って20年、石原の米ナス名人・窪内勉さんに話を聞いた

2017.07.09

石原に米ナス名人あり。その名は窪内勉さん。米ナス作って20年。米ナスの事は勉さんに聞けば、何でも教えてくれる。作り方もそう、害虫や病気のこと、食べ方まで。勉さんはとにかく米ナス愛にあふれている方だ。
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プロの仕事とはどういうものか

勉さんの朝は早い。外がまだ暗い 4時半に起床。5時半にはハウスに行って作業を始める。夜は19時半か20時に作業を終える。8時間労働?? いやいやいや!その倍は働いている。勉さんはこじゃんと働き者だ。

米ナスを栽培しているビニールハウスの広さは2反。なかなか広い。そのハウスに1,200本もの米ナスの苗が植わっている。そりゃあ「しんどぉ~」と言う時もあるが、米ナスと向き合う時の目は生き生きとしている。
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米ナスの収穫期は4月下旬~11月下旬。結構長い期間収穫できる。「そればぁ収穫せんと、やっていけんがよ!」と笑いながら勉さんは言う。生育がよければ、1本の苗から収穫期間を通して約60個の米ナスが収穫できる。

収穫は1日1回。収穫には細心の注意を払う。まず手ぶくろ。米ナスの皮の表面に指紋をつけないようにするためだ。これがプロの仕事。感心する。さらに米ナスと米ナス同士がぶつかり合って傷がつかないような梱包の工夫もしている。米ナスの皮は黒くツルツルとしているため傷や指紋が目立つのだ。

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標準となるMサイズが260〜360g。Lサイズが360g以上。大きければ値段が高くなると思いきや、LサイズはMサイズの値段の半分くらいになるらしい。ほっといたらどんどん大きなる。500gくらいまで肥大した米ナスを収穫したこともあったらしい。500gって‼️
勉さんくらいになれば、手で持つと何gかわかる。そんな重量当てゲームをやる時は、少年のような顔になる。

午前中に収穫を済ませて13時までにJAに出荷する。JAで計量して箱詰めされる。規格外品はほとんど出ない。1000個のうち10〜20個くらいじゃないか、とのこと。見よ、このピカピカの米ナス!
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殺虫剤を使わず、天敵となる昆虫を使った農業

勉さんの米ナス栽培の特徴、それは何と言っても『生物農薬』いわゆる、害虫の駆除のために天敵となる昆虫を利用することだ。これらの昆虫は害虫に対して益虫という。

例えば、アブラムシに対して、ナミテントウムシやヒメカメノコテントウやアブラバチを用いる。アザミウマ(スリップス)に対して、タイリクヒメハナカメムシやクロヒョウタンカスミカメやニセラーゴカブリダニやアカメガシワクダアザミウマ。ハダニに対して、カブリダニ。コナジラミに対して、スワルスキーカブリダニ…

いやもう、メモるのに必死… 頭はパニック状態です。勉さんの口からは聞いたこともない、しかも、ながーい虫の名前が次から次へと…まるで呪文のよう。よくまぁこれだけの情報が頭に入ってるなぁ。

ちなみにこれはヒラタアブ。害虫でしょうか?益虫でしょうか?
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正解は益虫!ヒラタアブの幼虫はアブラムシをやっつけてくれる。成虫になるまでに100〜1,000体のアブラムシを食べる。土着(この土地に以前から住んでいる)の益虫なのだ。

そんなわけで、勉さんは殺虫剤を一切使わない。そして同じ栽培方法をしている県内の農家さんとネットワークを作り、おもしろい取り組みをしている。それが益虫シェア・益虫リレーだ。

A農家さんが害虫の天敵となる益虫を一定利用し終わったら、B農家さんがA農家さんのところに行って、昆虫吸引器なるもので益虫を吸い取り自分のハウスで利用する。それをまた別の農家さんへとリレーしていくわけだ。 これは平野部と山間部との気温の差により益虫を使う時期がずれていることをうまく利用した仕組み。益虫シェア・益虫リレーは経費削減とエコにつながる。 ネットワークを作っているのは、勉さんたちのグループと、南国市、安芸市、土佐市の農家さん。全国的にも珍しい取り組みだ。

 

ハウスの中で米ナスだけでなく、虫をも育てる

勉さんのハウスに咲くブルーサルビア。120本ほど植えているという。ハウスは農家さんにとって戦場。時には戦士にも花を見て休息する時間が必要. . . . . というわけではない。DSC08008

ブルーサルビアは害虫の天敵となる昆虫が定着する住処としての役割を果たす。アザミウマ類の害虫への天敵となるヒメハナカメムシ類やクモ類がブルーサルビアには多く発生する。勉さんは同じ目的で、ブルーサルビアのほかにスカエボラも100株植えている。

また、バンカープランツという仕組みもあると聞いた。
「バンカープランツ(単一では、バンカープラント)とは、農作物を育てる際に、病虫害の防除を目的として、戦略的に植生を管理し、放飼増強された天敵を保護利用するための植物をいう。(Wikipediaより引用)」

例えば、バンカープランツとして麦を植える。この麦にムギクビレアブラムシが寄生する。ムギクビレアブラムシはコレマンアブラムシの餌となることにより、コレマンアブラムシが定着する。コレマンアブラムシは、ナスの害虫であるワタアブラムシやモモアカアブラムシを退治してくれる天敵にもなる。最初に麦につくムギクビレアブラムシはナスにはつかない。これは非常におもしろい取り組み。

 

虫使いの勉さん

勉さんはもうひとつ別の目的で虫を使う。訪花昆虫、いわゆる、受粉をうながす虫。これは在来のマルハナバチ。
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勉さん、おもむろにマルハナバチを指差して「こいつ、次はこの花に行くで」と言う。1株に花はいくつも咲いているし、株はそれこそたくさんある。半信半疑のまま見ていると、勉さんの言った花にマルハナバチは飛んでいった。

えーーーー!!!!

マルハナバチはある習性を持つ。今日咲いた花にしかいかないという習性。勉さんは、どの花が今日咲いた花かわかる。ゆえに、マルハナバチがいく花がわかるというわけだ。勉さんは、米ナス農家さんであり、虫使い。虫を使って農業をする。

 

たくさんのおもいを込めて育てる米ナス

勉さんのハウス・圃場はいつ行っても、こじゃんときれい。草がほとんど生えていないし、畝と畝の間の土は凹凸なく、まっ平らの状態。凸凹していると収穫したナスを運ぶ時にナス同士がぶつかって傷つく。「まぁ性格やろね」とケロッとした顔で言うけど、これだけの広さの圃場を、これだけのレベルに維持するのはどれだけ大変なことか。

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「こんな写真はあんまり撮られたくないんやけど。。。」と言うところを、まぁそう言わず。。。と、撮らせていただいた1枚。米ナス作って20年、石原の米ナス名人・窪内勉さん。

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勉さんの米ナスはJAを通じて県外にも出荷される。京都の料亭などでも高級食材として使われているらしい。これほどのおもいを込めて米ナスを作っている人が土佐町にいる。こじゃんとうれしいし、どうぜよ、おらが土佐町は!と、思うんだな。

 

米ナスは美味しい!オススメの食べ方は・・・

最後に、米ナスのおいしい食べ方を。
米ナスは油との相性が抜群! 油で素揚げして、ネギやすりおろしたショウガや大葉など薬味をちらして、酢醤油でいただく。これ、絶品。米ナスのたたきでございます。皮は厚いので、皮はある程度むいた方がいいですね。
そうそう、勉さんから教えてもらったのは、油にラードをいれると、よりコクと甘みが出るってこと。ほかにも素揚げした米ナスを白だしにつけても美味しい。米ナスにチーズやトマトをのせてピザ風に食べても美味しい。

暑い夏、米ナス料理を食べて、乗り切ってください!

この記事を書いた人

Maeda Kazutaka
Maeda Kazutaka
れいほく紀行編集長。高知県出身。2015年4月より土佐町石原地区での暮らしを始める。地域の宝もんを発掘しながら、里山暮らしに必要な心技体の修行を積みつつ、「つながる・つなげる」をテーマに、世界中からの旅人を受け入れるゲストハウス『omoya』オープンに向けて奮闘中。細胞にしみわたる音楽と、精神を解放するお酒をこよなく愛する。



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